相続コラム
認知症と不動産取引
2016年04月29日
最近、よくある質問です。「認知症の父が所有する不動産を売却したいのですが、どうしたらよいでしょうか?」
不動産の売却は、売買契約という法律行為です。人がある法律行為を有効に行うためには、行為の結果を判断できる精神状態にあることが必要です。認知症との診断を受けた方は、判断能力が低下している状態ですから、行為の結果を判断できる精神状態にあるとはいえません。よって、お父様ご自身は、不動産を有効に売却することができません。
では、推定相続人であるご家族がお父様に代わって売買契約をできるのかといえば、これもできません。お父様からご家族に対する委任行為も法律行為ですから、認知症のお父様は、有効な委任行為を行うことができません。よって、ご家族がお父様の代理人として不動産を売却することもできません。
しかし、判断能力が低下したからといって必要な法律行為が一切できないというのも困ります。そのようなときのために、成年後見制度が用意されています。今回のような事例では、家庭裁判所にお父様の後見人を選任してもらい、後見人がお父様に代わって売買契約を行うことになります。成年後見制度の利用については、メリット・デメリットそれぞれありますから、家庭裁判所や専門家に相談するのがよいでしょう。

Copyright(C) 東愛知新聞平成28年4月29日号掲載

不動産の売却は、売買契約という法律行為です。人がある法律行為を有効に行うためには、行為の結果を判断できる精神状態にあることが必要です。認知症との診断を受けた方は、判断能力が低下している状態ですから、行為の結果を判断できる精神状態にあるとはいえません。よって、お父様ご自身は、不動産を有効に売却することができません。
では、推定相続人であるご家族がお父様に代わって売買契約をできるのかといえば、これもできません。お父様からご家族に対する委任行為も法律行為ですから、認知症のお父様は、有効な委任行為を行うことができません。よって、ご家族がお父様の代理人として不動産を売却することもできません。
しかし、判断能力が低下したからといって必要な法律行為が一切できないというのも困ります。そのようなときのために、成年後見制度が用意されています。今回のような事例では、家庭裁判所にお父様の後見人を選任してもらい、後見人がお父様に代わって売買契約を行うことになります。成年後見制度の利用については、メリット・デメリットそれぞれありますから、家庭裁判所や専門家に相談するのがよいでしょう。

Copyright(C) 東愛知新聞平成28年4月29日号掲載

Posted by ミューズな4人 at 09:00│相続コラム